会長さんのエンピツ

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南堀江のdddギャラリーで「福田繁雄のヴィジュアル・ジャンピング」をみました。

福田さんが制作された約1,200点(!)のポスターの中から
選ばれた作品で構成された、追悼特別展でした。

大阪万博の以前からすでに第一線で活躍されている福田さん。
もう戦後から現代にいたるデザイン史の中の人物だし、作品で、
いくつかは、僕らが学生の頃から折に触れては見て、知ってはいるポスターです。
dddはそんなに広くないギャラリーで、ほんとうにコンパクトな展示ですが
初めてみるポスターも多く、ひとつ、ひとつ、現物をじっくり見せてもらいます。

?と!にみちたポスター達。 …もう、凝視するしかありません。 とにかく、

すてきで、力強い。

じつは僕は、福田繁雄というデザイナーは、シニカルで、ひょっとしたら
冷たいほどの知性の人ではないか、という勝手な印象を、長いこと持っていました。
あまりにシンプルに切り詰められた表現なので。

それが、実際にお人柄に接する機会があって
それは2年前、2008年夏、JAGDA(日本グラフィックデザイナー協会)大阪大会で
当時会長の福田さんが、総会でお話されて、そこですでに、意外に
(失礼かもしれないけど)天然の方なんだ…と身近に感じたのですが、
あとの交流パーティの開会で、なにか「あいさつ」を期待してた僕らは、
テンガロン・ハットでイェイ!
と登場されたのにすっかり度肝を抜かれて、拍手喝采。
勝手な理知的印象は、もうあっさり、崩れ落ちたのでした。

思えば、切り詰めた単純性を、無機質と勘違いしていたのでした。
福田さんの、トリックをテコにした表現の底にあるのは、ユーモア=ユマニテ
あまりにも人間的な、共感なのだと思います。

その、2年前のことです。
福田会長が話されるのを、僕らは舞台の袖できいていたのですが、
すごく印象に残ったことがあります。
そろそろパソコンに慣れないとと思ってるんです、というお話をされて
「でもね、たぶんこれからもずっと変わらないと思う日課があって、

まず机に向かって、今日使うエンピツを削って、それをきれいに並べるんです。
それが僕の一日のはじまり」

とおっしゃられた。


その感覚を、気持ちを、僕はデザイナーとして持っておきたいなあ、って思います。
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by ichirographics | 2010-09-03 11:55 | 展覧会

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