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虫の鳴く町

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出演するのはフィドルとアコーディオン、そして鈴虫というコンサートがありました。
ここは伊丹。郷町界隈に、今日から9日間、鈴虫など秋の鳴く虫を随所に配置して
いろんなイベントと虫の音で、秋の夜長を楽しもうということです。
JR伊丹駅からホールへ来る途中の酒蔵通りでは、スタッフの人達が、道の両脇に
行灯を設置しているのを見ました。
クロマチック・アコーディオンのかとうかなこさん、フィドル、マンドーラ他の
大森ヒデノリさんの演奏は素晴らしいもので、それに加わるのが
ホールの天井裏や舞台、客席に鈴虫籠を設置された鈴虫約2,000匹。
伊丹アイフォニック・ホールは音響が良いのできょうはノーPA、
生楽器の音が生き生きと、そして柔らかく、きこえます。
曲が終わるとき、ゼロに向かって減衰するのでなく、鈴虫の音が残るのが面白い。
舞台とのやりとりからすると地元市民のかた、たくさん客席に来られていました。

ホールを出て、会場でたまたま会った知り合いと話しながらゆっくり歩いていくと
夜の酒蔵通りは人で賑わっています。
三軒寺前の広場にはテーブルが出て、そこを若いアコーディオニストが弾いて廻る。
いまの街並みの成り立ちはよく知らないのですが、江戸時代、酒造で栄えた伊丹郷町。
建築のデザイン、色彩は統一されて、通りも人が歩きやすいと来るたびに感心します。
大変な努力があったんだろうと思いますが、素敵な街づくりを実現しているように見えます。
イベントの賑わいも声高でなく自然で良い感じ、町の歴史を背景に文化が香るようで、
暮らしの延長で市民が参加されている、正直ちょっと、かなりうらやましい感じです。

帰り道、通りに面したお屋敷の中のどこかから、鈴虫や、コオロギの音がきこえてきました。
手づくりの行灯が夜の通りに映えています。

# by ichirographics | 2010-09-04 01:12 | 空間

会長さんのエンピツ

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南堀江のdddギャラリーで「福田繁雄のヴィジュアル・ジャンピング」をみました。

福田さんが制作された約1,200点(!)のポスターの中から
選ばれた作品で構成された、追悼特別展でした。

大阪万博の以前からすでに第一線で活躍されている福田さん。
もう戦後から現代にいたるデザイン史の中の人物だし、作品で、
いくつかは、僕らが学生の頃から折に触れては見て、知ってはいるポスターです。
dddはそんなに広くないギャラリーで、ほんとうにコンパクトな展示ですが
初めてみるポスターも多く、ひとつ、ひとつ、現物をじっくり見せてもらいます。

?と!にみちたポスター達。 …もう、凝視するしかありません。 とにかく、

すてきで、力強い。

じつは僕は、福田繁雄というデザイナーは、シニカルで、ひょっとしたら
冷たいほどの知性の人ではないか、という勝手な印象を、長いこと持っていました。
あまりにシンプルに切り詰められた表現なので。

それが、実際にお人柄に接する機会があって
それは2年前、2008年夏、JAGDA(日本グラフィックデザイナー協会)大阪大会で
当時会長の福田さんが、総会でお話されて、そこですでに、意外に
(失礼かもしれないけど)天然の方なんだ…と身近に感じたのですが、
あとの交流パーティの開会で、なにか「あいさつ」を期待してた僕らは、
テンガロン・ハットでイェイ!
と登場されたのにすっかり度肝を抜かれて、拍手喝采。
勝手な理知的印象は、もうあっさり、崩れ落ちたのでした。

思えば、切り詰めた単純性を、無機質と勘違いしていたのでした。
福田さんの、トリックをテコにした表現の底にあるのは、ユーモア=ユマニテ
あまりにも人間的な、共感なのだと思います。

その、2年前のことです。
福田会長が話されるのを、僕らは舞台の袖できいていたのですが、
すごく印象に残ったことがあります。
そろそろパソコンに慣れないとと思ってるんです、というお話をされて
「でもね、たぶんこれからもずっと変わらないと思う日課があって、

まず机に向かって、今日使うエンピツを削って、それをきれいに並べるんです。
それが僕の一日のはじまり」

とおっしゃられた。


その感覚を、気持ちを、僕はデザイナーとして持っておきたいなあ、って思います。

# by ichirographics | 2010-09-03 11:55 | 展覧会

水、みつけた!

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差し込んできた光の帯がさま変わり、紋様となって映えて。

9月2日、午前10時台の入射と反射。

光がずいぶん柔らかくなりました。

# by ichirographics | 2010-09-02 12:16 |

あと二日

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読書感想文が書き終わらなくて、学校が始まってもまだ書いてて
文字量がどんどん増えて 原稿用紙では足りなくなって
5ミリ升のグラフ用紙に書き継いで
期限はとうにすぎた、9月の半ば過ぎにやっと仕上がって、提出したら
「こんな生徒がいます。がんばって課題に応えて、わたしはうれしい」と
先生は、僕の、遅れた原稿を、学年中にみせて廻られたのだった。

変な子だ、とも、締切すぎたからだめだとも、言われなかったな
でもまあへんな高校生だったなあ。

…と、ふとよみがえる、何十年か前の夏休みの終わりの記憶。

グラフィック展締切まであと二日。 ふう。

# by ichirographics | 2010-08-30 12:02 | 記憶

夏に

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へんにせわしなくしてしまっていたので
しばらく郊外の、家のまわりで過ごしてませんでした。
朝出勤してしまうと当然帰るのは夜。
自分の住んでいる土地を見ないまま
地元の季節の変化を感じないままで来てしまう。

明日は篭って仕事なので、今日は夕方すこし一息つきたくなって
(というか、へばってしまったのです)
近くのある場所が、いまどんな風なのか見たいと急に思い立ち
そこを見るためだけに、少し出かけました。

次に休みがとれるとしたら一週間後か だめならその次の週
その頃はもう 夏が行ってしまう と思って。

夏はまだあった。変わっていく途中の段階の夏。
空気はずいぶん爽やかで、すこし秋が入り込んだ夏。
夕方の少しの時間だけど、必要でした。少し人間に戻った…。

と、すっかり休日してしまって。宿題は持ち越し…

# by ichirographics | 2010-08-28 22:23 | 身体感覚