最近の装丁仕事:民族音楽学12の視点

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このところ、音楽の本の装丁仕事が続いていました。
装丁もいろんなケースがあって、この本はカバーが1色or2色刷にPP加工、という仕様、本文の用紙・レイアウト等が出版社の方であらかた決まっているパターン。
僕が依頼されたのはカバー(英語だと「表紙」とおなじになってしまうので原稿のファイル名はjacketにするんだけど依然呼称はカバーですね)のデザイン案、そして方向性が決まったらそれに沿って仕上げ、表紙、本扉と章扉もデザイン、そして見返し用紙の選定。

本が出来上がって、音楽の友だちにも紹介したい内容です、と言ったら
ぜひ、ということなので、これは書名が出せる仕事。

「民族音楽学12の視点」徳丸吉彦 監修・増野亜子 編
”人間と音楽について考える「民族音楽学」の入門書。専門的な音楽の経験がなくても、音楽への知的な好奇心がある人に向けて編まれた。「民族」という語がついてはいるものの、民族音楽学は遠い異国の音楽だけを扱うものではなく、あらゆる音楽を扱う。”
15年ぶりに出る民族音楽学のテキストとあって、気鋭の若手研究者らによるさまざまな論考が編まれています。
僕としては音・声・ことば、や越境・ディアスポラ、がまず関心あったところ。

テーマが多岐に亘って、また各項で語られる論者自身の音楽との出会いがいろんな驚きにみちているので、読んでいてクラクラします。
いちおう民族音楽学という学問の教科書、でも教科書的ではない。
目次を紹介してみますね。

[本書の内容]
響きと身体
 1 音楽と身体
 2 音楽と舞踊
 3 聴こえるものと見えるもの
 4 音・声・ことば

伝承と政策
 5 伝統芸能の伝承——個人にとっての芸の伝承
 6 無形文化遺産としての音楽
 7 無形文化財と韓国の伝統音楽
社会の中の音楽
 8 マイノリティ
 9 越境・ディアスポラ
 10 ローカルとグローバル、アイデンティティ
 11 グローバル化と著作権問題

総括
 12 民族音楽学への流れ

といった内容。ご興味あるかたは、
音楽之友社サイトで「立ち読み」ができます。
http://www.ongakunotomo.co.jp/catalog/detail.php?code=135100

並製・B5判・192ページ
定価2,700円(本体2,500円)
株式会社 音楽之友社

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# by ichirographics | 2016-06-16 12:17 |

白い紙の束に

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最初に想像するのは白い紙の束。
そこに思念が行を成し、陰影がにじむ記憶が図版となる。

白い束をおおう表紙に海、を考え、
角背に光沢ある紺クロスを貼って大海原を託した。
さらにそれを包むものとして空気をふくんでやわらかく白い紙で函をつくる。
大気の外函、海の表紙。それに紺のスピン、明るい青の花切れ。水色の見返し。
半透明の紙に湧きあがる気泡の図像を刷って別丁扉とし、本文へ導く。
これで、この本は船のように出航することができるだろう…

このイメージが夏にできて、あとはそれに従って
こつこつ、構成していったんだった。

本は子どものころから貪るように、目に捉えた文字の形や絵のかたまりが
頭に沁みこむまで、感覚ぜんぶをつかって、読むものでした。
美術学校を出たあと、イラストレーターのスタジオを経て
20歳すぎに勤めた会社の、業務のひとつが
大型本や企業の社史といった書籍をデザインする仕事。

読む側の気持ちで本をつくるのは難しいことではなかった。
むしろめっぽう楽しい仕事。

・・・ということで何十年後の現在にいたるまで、
僕の事務所の業務のひとつの分野としてブックデザインは続いています。

今は制作の工程が、すっかり個人のコンピュータのなかで完結してしまいます。
自在なようで、これが狭い、ある種閉じた世界だという気がずっと、しています。
見方が独善的になる、という反省も。

かつて文字組みのこと(緊張感、リズム!)は写植屋さんに、
写真(深み、あでやかさ)のことは製版屋さんに、というふうにして、
それぞれの分野のベテランで、気概あるおじさんたちに教わりました。

今回、組版はひとりで取り込まず、依頼したのが
一昨年知り合った、でもじつは30年以上前に、ある書籍を一緒に作ったことで
かかわりがあったことがわかった人たち。
なので、お互い、よう生き残ってはった!と涙の^^;再会をした人たちでした。

製本、製函のプロセスはもちろん専門のひとたちの手を経て、
それぞれのベテランにお願いできたことは良かった。
そのおかげで僕は著者の意図を生かしつつ、企業体の歩みが
有機体のように浮かびあがってくるかたちづくりに専念することができました。

ということで、装丁プランから、基本フォーマットづくりという僕の仕事では、
おなじみの鉛筆が活躍しました。

かつてやっていたことに戻る、というかまた巡ってくるんだな、と思います。
これはまた続いて、そしてまた巡っていきます。

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# by ichirographics | 2016-06-12 14:42 |

BODY WORK 10 に参加します

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「この1年の間に制作された『作者』と『デザイン』の関係をもっとも明快に表わした「仕事1点」を集結したグラフィックデザインの展覧会」BODY WORK 10 に、今年も参加します。
出展されるメディアはポスター、新聞・雑誌広告、CI・シンボル・ロゴ、ブック・エディトリアル、パッケージ、ジェネラルグラフィック、インタラクティブ/モーショングラフィック、ステーショナリーなどグラフィックデザインに関わるもの。
昨日設営に参加してきましたが(上は設営中の写真)、皆さんの仕事ぶりが、とっても興味深くて、面白いです。
ぼくは、いま進行中の「全身」で取り組んでいるCD制作を、今年の一点としました。
大阪のグラフィックデザインの一端と、各人の姿勢がみえる、BODY WORK展。
デザインに興味あるかたはぜひ、お越しください。
(土日休、平日も5時までなのでご注意を)

・・・・・・・・・・・・・・・・・

BODY WORK 10 - デザインの本質、その骨格と視点 -
11月24日[火]~12月3日[木] 9:00~17:00
土日休み 入場無料(最終日は15:00まで)
会場:平和紙業PAPER VOICE
542-0081 大阪市中央区南船場2-3-23 tel.06-6262-0902
■地下鉄御堂筋線[心斎橋駅]1番出口より徒歩7分
■地下鉄堺筋線・長堀鶴見緑地線[長堀橋駅]2B出口より徒歩2分

BODY WORKサイト(ここに掲載されている作品やメンバーは11/21の時点では去年のものですが)
http://osaka.jagda.or.jp/bodywork/

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# by ichirographics | 2015-11-21 12:11 | 展覧会

鉛筆画展、ハルカスで9/30から

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妻の色鉛筆画展覧会が、明日9/30から開かれます。
2年ぶりのあべのハルカスギャラリーでの個展。
直前まで、制作に取り組んでいました。新作色鉛筆画、多数です。
会期中は本人連日、会場にいる予定です。
カナダの風景、マルタの風景、心の中の風景…。
いっぱいの作品たちに、会いに来ていただければうれしいです。

* * *

渡辺美香子 色鉛筆画展
2015/9/30(水)~10/6(火)
10:00~20:00(最終日のみ17:00まで)
大阪・あべのハルカス近鉄本店 タワー館 11階アートギャラリー

渡辺美香子の世界 http://www.eonet.ne.jp/~mikakoworld
ブログ http://ameblo.jp/immk709/
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# by ichirographics | 2015-09-29 11:43 | 展覧会

伊丹で、日本酒ラベルデザイン展。

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僕の参加する「日本酒ラベルデザイン展」が9月5日(土)から伊丹市立工芸センターで開かれます。
清酒発祥の地・伊丹市の小西酒造さんと老松酒造さんが協力、協賛するデザイン展。それぞれの蔵元が一点ずつ選んだ「地酒」の、あらたなラベルを、グラフィックデザイナーやパッケージデザイナーなど多分野のデザイナーが、蔵元からのコンセプトをもとにデザインする。それを展示して、たくさんの人に見てもらう。という企画です。
製造工程・特長・市場背景などについて説明を聞き、そして酒造りにかける思いにふれ、試飲で味わいをたしかめた上で、デザインにかかりました。
なので展覧会とはいえ、僕自身は、通常の仕事と同じスタンスで臨んでいます。
お酒はそれぞれ個性のちがう美味しさ。なにより、メーカー2社が、伊丹の酒文化を盛り上げようとタッグを組むことが意義深く、意気を感じて、ぼくはネーミングから発想してふたつのお酒のラベルを作りました。
参加したデザイナーは130人もいるそうです。デザイナー仲間も参加しています。みんな、どんなふうに考えて、つくったのか、見るのがとても楽しみです。

ところで展覧会の期間中、伊丹ではちょうど、町をあげて「鳴く虫と郷町」が行われます。
9/11-20 鳴く虫と郷町 http://www.nakumushi.com/
「伊丹郷町館を中心に虫の音を聴きながら日本の秋を愛でる10日間」です。

その関連イベントとして
9月17日(木)、三軒寺前広場で行われる
「鳴く虫と奏でる北欧・アイルランド音楽」には、僕もクロマチック・アコーディオンで参加します。
ちなみに「日本酒ラベルデザイン展」は工芸センターで18時まで。
歩いて3〜5分の三軒寺前広場でのライブが始まるのが19:30…うーん
どこかお気に入りのお店を見つけて晩ご飯、もいいかもしれませんね^^;

まとめます;

9月5日(土)~9月27日(日)
「日本酒で乾杯! デザイナー100人が創る
日本酒ラベルデザイン展」
月曜休館(祝日の場合は翌日休館) 入場無料
10時~18時(入館は17:30まで)
最終日は17時30分まで(入館は17:00まで)
会場:伊丹市立工芸センター http://mac-itami.com
664-0895 兵庫県伊丹市宮ノ前2丁目5番28号
JR伊丹駅徒歩6分・阪急伊丹駅下車徒歩9分

9月17日(木)19:30〜
「鳴く虫と奏でる北欧・アイルランド音楽」
〜大森ヒデノリ&ザ・セッションハウス〜
三軒寺前広場/無料/雨天時はクロスロードカフェ店内
(問)クロスロードカフェ072-777-1369
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# by ichirographics | 2015-09-04 04:24 | 展覧会