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Whoa.

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1998年。“Whoa.”のキャッチコピーのもと、
「ただ新しいだけじゃない、全く新しいアイデアのコンピュータ」を紹介する
Appleサイトのトップページを見たときの驚きを、忘れない。
紹介文はこう続いていた。「そのideaの名前は、iMac」

この文が頭の中を打って、鳴ったのは、iDEATH!

リチャード・ブローティガンが1964年に書いた
“In Watermelon Sugar”(「西瓜糖の日々」)は
不思議だけど身になじんだ感覚で、コミューンのような場で
過去と現在の生活が淡々と「展開」する物語だ。
暮らす人たちは隠遁者のようで、でも各々の役割をしっかり持っていて
だけどその叙述は詩のようなので、話の脈絡はほとんど消えそうだ。
そこには命名があって、仕事があって、歴史もある。
過ぎ去ったはずの虎の時代からやってきた暴力との接触もある。
非現実的な展開だけど、そういうところは物語が書かれた
1964年という時代の感覚を凝縮しているようにも思えた。
極端な、理想と、死と。

そこで暮らす人から、いつも見えているのが「アイデス」で、
それは美しい存在。
そこでは太陽が毎日違った色で輝く。

たしかそんな話だった。
というくらい、長いこと読んでないけど。

僕が訳もわからずに買った、このペーパーバックの
とても気になる青は、この98年にはボンダイブルーと呼ばれた色と同じ。
スティーブ・ジョブズも、ブローティガンの子供なんだとわかった。
それで、興奮したのだった。

Macは、技術者の産物じゃない。
それはビートルズのサージャント・ペパーのようなもので
世界を変えるためのものだったのだと思う。

スティーブ。会ったことはないけれど。
君は僕らの内部に、確実にかかわったね。

僕と同じ1955年生まれで、先を行ったね。

・・・・・

とにかく、トラの時代は終わって、ヒョウ、ライオン…
猛獣がぜんぶ、去ったあとは…

鱒の時代があるのかな。
西瓜糖のときは、来るのかな。

答えが、先を行ってしまった。

by ichirographics | 2011-10-06 20:58 | 照応

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