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犬は歩く 船は行く

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犬も歩けば。

宅急便を出しに行く途中、展覧会の案内をみつけた。

Made in Japan -日本の現代美術-
白髪一雄 元永定正 吉原治良 山田正亮 草間彌生 村上隆
奈良美智 ヤノベケンジ 名和晃平 森山大道 杉本博司

日本の現代美術、とは何とも括りがひろい、と思ったけど
ギャラリー・コレクションということで作家につき一点ずつ、の構成展示。
元永定正、60年代のかたちには、言うに言われぬ、造形を。
70年代の白髪一雄の旋回。運動への意思。
やむにやまれぬ、衝動が、いまだ湧いているのが感じられて、
それをこじんまりと、心地よいギャラリーで見ることが不思議に感じる。

ここにギャラリーがあることには、気づかなかった。
18年間、帝塚山の姫松駅の向かいで営業されて、去年、
南堀江に移転されてきたそうだ。やはり、情報が、人が集まる所で、
アートも動くということか。

部屋のうらにもうひとつ、小部屋が。その奥にモノクロの写真があって
白い矩形が浮かんでいる。映画館の内部を撮ったものだ。
映写されたかりそめのフリッターを露光しつづけた果ての、白いスクリーン。
まわりの闇にほんのり、壁面の装飾の気配が浮かび上がる。
スティーヴン・ミルハウザーの小説に出てくる、一瞬と永遠が
背中合わせになった世界のようだ。
杉本博司の「劇場」シリーズのひとつ“Palace Pennsylvania”ということだ。
印画紙に時間を定着しようとする試み、その意思をおもう。


この小さな、でも視野の長い展覧会は始まったばかり、今日から6月24日(金)まで。
TEZUKAYAMA GALLERY http://www.tezukayama-g.com/
大阪市西区南堀江1-19-27 山崎ビル2F

* * * * *

用事をすませてそのまま、四ツ橋本町のオリンパスギャラリーへ。
MazKen 21世紀的電脳光画展「妄想空間」。
ちょうど作者のMazkenさんとお会いすることもできた。
もの静かな印象で、でも思い立ったら行動は早い、とおっしゃった。

いきなり巨大な、船のような、飛行船のような見慣れない乗り物。
僕の頭の中ではノーチラス号の模型の思い出とクロスする。
その、こわもての外形から、つぎの写真では内部にいる。
空との境界がはっきりしない海にたゆたって
これはフェリーニの「そして船は行く」の客船の、甲板にいるよう。
優雅な柱がそれぞれ、ボルトであることから、スケールを類推する
その「船」の実物、田中哲也さんの作品が展示されている。
金属のような陶器の、不思議な魅力をたたえたオブジェだ。

これはリアルな触感をそなえた、夢だ。
この世界を現前させた妄想の力を、おもう。

この展覧会は、でもあす18日(最終日15:00閉廊)まで。
明日からは神戸・三宮でMazKen@電脳光画主催「ペンスケッチ展」があって
MazKenさんはこの後、そちらの準備に行かれるそうだ。

オリンパス http://olympus-imaging.jp/event_campaign/event/photo_exhibition/110324_matsumoto/
Mazkenさん http://mazken.cocolog-nifty.com/


刺激をうけて、脳がちょっとひりひりする感じ。
事務所まで戻る途中、雨上がりの路面の質感が妙にリアルに思えて。
僕は、これからまだまだ、働いてもらわないかん年ですやんか、と
きのう、近いひとに言われたんだった。
もっと行動を。もっと想像力を。

by ichirographics | 2011-05-18 00:46 | 視覚

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